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炎の恋に落ちた若い消防士

炎の恋に落ちた若い消防士

画像の説明

【炎の恋に落ちた若い消防士】


年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けました。

温度が低い日だったせいか、現場に着いてみると、

既に炎が燃え広がっていました。



救助のため中に入ると、一階はまだ何とか形を保っていたので、

そこを同僚に任せて、先輩と二人で階段を上がりました。



二階は見渡す限りの火の海になっており、

煙が廊下を覆っていました。

先輩は西病棟を、僕は東病棟を回り、要救助者を探しました。



出火場所は二階のようで、

フラッシュオーバーの可能性も考えられたので、時間との戦いでした。



東病棟を回っていくと、一番奥の病室にだけ女性が1人いました。

声をかけたけど、気を失っていて反応がなく

危険な状態だったため、急いで抱きかかえて救助しました。


数日後、僕は不意にあの女性がどうしているのかが気になり、

病院に連絡をとってお見舞いに行くことにしました。



看護師さんに案内されて病室へ行くと、

彼女はベッドの上で会釈しました。

改めてみると、とても可愛らしい人だったのです。



「お身体は大丈夫ですか?」

と聞いたけど、彼女は首を傾げるだけでした。



看護師さんが、少し困ったような顔をしながら、

紙に何かを書いて渡すと、彼女は笑顔になりました。



そして、「ありがとうございました。大丈夫です」

と紙に書いて僕に見せてくれました。


彼女はろうあ者でした。

しばらく二人きりで筆談し、

趣味のことや小さい頃のことなど、色々なことを話しました。



耳が聞こえないということを感じさせないくらい、

前向きな人で、本当に楽しいひと時を過ごすことができました。



彼女は、

「もしよかったら、また来てくださいますか」

と心配そうに聞いてきたので、

「ではまたお邪魔します」

と答えて、病室を後にしました。



彼女と話すために手話を勉強し始めたり、

好物のお菓子を持って行ったり・・・。



そんな関係が続いて二ヶ月ほど経った非番の日。

僕はやっとどうしようもなく、

彼女に惹かれていることに気づきました。



彼女のことを考えない時がありません。

僕はこの気持を告白することを決意しました>>>

紙に書いたプロポーズの言葉

女の病室の前まで来たのですが、

いざ取っ手に手をかけると、緊張のあまり、手が震えました。

一度、深呼吸して気持を落ち着けてから、

引き戸を引きました。



その日は、冬にしてはよく晴れた暖かい日であり、

やわらかい日差しが窓から差し込んでいたのをよく覚えています。



彼女は、その光に包まれながら読書をしていました。

いつもの童顔で、可愛いらしい雰囲気とは違い、

どこか大人っぽい感じがして、思わず見とれていました。

僕が来たことに気づいた彼女は、いつものように、

ニッコリ笑って本を閉じ、それからは

いつもと変わらない時間を過ごしました。



そんな中で、



「大事な話があるんだけど、聞いてくれるかな?」

と切り出しました。



彼女が頷いたので、思いのたけを紙に書いて渡しました。



彼女はそれを見て、不安そうな顔をし、

何かを書きつけて寄こしました。



紙には

「私、耳聞こえないんだよ?

 一緒にいたら大変だよ」

と書いてありました。

すごく寂しそうな顔をしていました。



返事を一生懸命に考えてはみたけど、

残念ながら、気のきいた言葉を言えるような

素敵な男ではないので、思っていることをそのまま書きました。



「ただそばにいたい。いつだって力になりたい。

 そんな理由じゃダメかい?」



ダメ元だったのです。



それを見て彼女は泣き出し、震える手で、

「ありがとう。お願いします」

と書きました。


つきあっていくうちに、苦手な食べ物とか、

実は甘えん坊で、頭を撫でられたり、

抱きしめられるのが好きだとか、

知らなかったたくさんの面を知ることができました。



つきあい始めて、ちょうど二年が経った日にプロポーズしました。



相変わらず、飾り気のない言葉でしたが、

彼女は顔を赤らめて、少しだけ頷いてくれました。


もうじき結婚生活三年目ですが、

感謝の気持ちを忘れたことはありません。



どんな時でも笑顔で送り出してくれる嫁が、

こうして傍にいてくれるからこそ、

死と隣り合わせの火災現場でも、僕は頑張れるんだから。

300 x 200

今からちょっと抱きしめて、それから出かけていきます。




感動シリーズ


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