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孤独な子を新しい家族に加えた

孤独な子を新しい家族に加えた

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【孤独な子を新しい家族に加えた】


長1メートルくらい、立ち上がると小柄な私の口と口が合う。

ちょいちょいペロリとやられている。

子犬の頃から若旦那と呼ばれていた。

頬の茶色い毛が人の髭のようで、背には白いものがチラホラ混じっている。

寒い地方の犬であるらしく、夏の盛りには食欲も減退し、

ぐったりしているのを見ると心配になる。

そんな時、私の方がイワシで我慢し、犬が牛肉をいただくことにもなる。

大体、それで元気を回復してくれる。



つい一か月前のことである。

食事の後、犬が甘えて戯れているところを、薄暗くなった木の陰から、

ランランと光る目で窺う者がいることに気づいた。



元々山であったところを切り開いた新興団地なので、

先駆者たちが夜な夜な出没することは知っていた。



ちょっと窓を開けると、名も知らない昆虫や鳥たち、

百足や蛇などが、そこかしこにいる。

月夜の晩には、ウサギやタヌキも幾度となく見かけた。



「しっ、しっ、あっちへ行け」と手で合図したくらいでは、

ランランと光る目はビクとも動かない。



小石を投げると、ヒラリと飛び退いて、虎模様がはっきり見えた。

虎猫だ。犬のおこぼれを待っている。

肥料にでもなればと、木の根元に捨てていた犬の残り物が、

翌日は跡形もなく消えていた。

あの虎猫が食べていたのだ。

どうしてくれようか>>>

ハングリー精神が戦いに勝った

の僅か一つまみの残りに希望を託して、足音を忍ばせ、

息を殺して、いつ頃からここで待つことを覚えたのだろう。



残り物にありつけない日は、どうしていたのだろうかと、ふと思う。



野ねずみを捕って空腹を満たしたのだろうか。

ため池で小魚を探したのだろうか。



見れば、まだ若い。



優しい言葉の一言も、頭を撫でられたこともなく、

おそらく母の温かい懐も経験しないうちに、引き離されたのではないか。

孤独に暗闇の隅で、泣くことすらできず、じっと佇んでいたのではないか。

雨は降らなかったか、嵐には遭わなかったかと、

独り身の貧しい我が家を頼ってきた虎猫に、

私は深い憐れみと親しみを抱いて語りかけていた。



夕暮れの裏の空き地で、二匹の猫が睨み合っている。

赤い首輪の太った猫と、もう一匹はあの虎猫だった。

テリトリーを失うか、獲得するかの戦いの最中である。

二匹の間には、氷のように緊迫した空気が張りつめている。



今までは赤い首輪の猫がこの辺りを支配していたのだろう。

身体も一回り大きく、ボスの貫録を見せて、

「ウギャーン、ウギャーン」と盛んに威嚇している。



「頑張れ虎猫、負けるな一茶ここにありだ」と一茶の句が浮かんだ時、

虎猫が「ハーッ」と息を吐き、大きく口を開けて

赤い喉を凶器のようにちらつかせた。

一瞬、隙をついて虎猫が、ポップコーンが弾けるように跳んだ。



蹴ったのか、噛んだのか、ひっかいたのか。

首輪猫は、ドサリと音を立てて倒れ、

栄養の行き渡った腹部をさらけ出した。



「勝負あり!」

私は思わず叫んで、拍手した。

その日、鯵の塩焼きを勲章の代わりに贈り、ささやかな祝宴を持った。



虎猫は、

「い、いいんですか」と言うように、私をチラッと見て、

可愛い口元で貪るように平らげ「ニャオーン」と凱歌をあげた。



表の方で「ごはんまあだ?」と催促するような、

間延びした犬の鳴き声が、秋の風景に吸い込まれていった。



私はトラと命名し、トラはいよいよ私の家族の一員となっていった。

首輪を買ってやろう。

予防注射も必要だ。

ついでに、避妊手術も考える必要がある。

参考本:心にしみるいい話 (佐賀新聞社)


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