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料理店のご主人と、習いごとのリーダー女性との衝突

料理店のご主人と、習いごとのリーダー女性との衝突

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【料理店のご主人と、習いごとのリーダー女性との衝突】



は、隣町にある名刹を囲む門前町によく出かけたものである。

緑の多い静かなたたずまいが好きで、妻とよく散策をした。

その日も朝から、妻と門前町に来ていた。

正午近くになったので、昼食にしようと飲食店に入った。

こじんまりとした店内には、ほのかな田舎の香りがあった。

先客は二人だった。



私達と少し間をおいて、十人余りの女性の連れが入って来た。

何かの手習いのグループなのか和服姿が多い。

大勢の女性客で、店内は一挙に華やぎ、賑やかになった。

リーダーなのか、中年の女性が、各人の注文を聞き、メモにして、店の人に渡した。



しばらくすると、料理が各人の前に運ばれた。

女性たちは、全員、両手で箸を持ち、

「いただきます」と、声を揃えてから食べ始めた。

十人もの人が一緒に箸を両手に持って、

「いただきます」とは、めったにお目にかかれる風景ではない。

私は、何か久しく忘れていたものを見つけたような、

ほのぼのとした気持を楽しんだ。

やがて食べ終わると、全員が再び両手に箸を持ち、

「ご馳走さまでした」と、声を揃えた。

その所作には、ぎこちなさや、わざとらしさといったものはなく、

清流のせせらぎを思わせる自然な流れがあった。



食事が終わると、注文した女性がレジへ行った。

ところが、そこで店の人と何か言い合っている。

何のトラブル?

食事をとっくに終えていた私は、店を出るのをやめて、聞き耳を立てた。

あんなに嬉しそうに、美味しそうに食べていた人達なのに、

一体、何があったのだろう。

言い合いの内容に興味があった>>>

職人気質の料理店ご主人だから・・・

の主人の言い分はこうである。



「私は長い間ここで商売をしていますが、

 あなた達のように大勢の人が一緒に『いただきます』『ご馳走さま』

 と言って、残さずに全部食べていただいたのは初めてです。

 料理人冥利に尽きます。

 こんなに喜んでもらったのですから、代金は要りません」

と頭を下げて、目は涙ぐんでいる。



中年の女性は、

「『いただきます』『ご馳走さま』はいつも言っています。

 こんなに美味しい料理をいただいておきながら、

 お金を払わないわけにはいきません。罰が当たります」と言っている。

双方とも、精一杯で譲れないといった雰囲気である。

私はどうなることかと見守っていた。



同じようなやりとりが何回かくり返されてから、

代金を半額にすることで納まった。

話がつくと、店内に張りつめていたものが一気にほぐれ、

安堵の気配が広がった。

どうなることかと、成り行きを見守っていた門外漢の私にも、

さわやかなものが吹き抜けた。



女性客が店を出る時は、店の人全員が出口に並び、

女性客一人一人に、

「ありがとうございました。またお越し下さい」

と言って、深々と頭を下げた。

お互いの顔は笑みに溢れ、今にもこぼれ落ちそうであった。

あの日のお客さん達は、今どうしているのだろうか。


「心に残るとっておきの話」(潮文社編集部)

福岡県、S.U.さんのお話



感動シリーズ


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